ヒアルロン酸とコラーゲン、化粧品成分でよく見かける成分ですよね。
保湿成分でしょ?といえばそうなんですが、化学構造は全然違いますし、皮膚での役割も異なります。
今回は、ヒアルロン酸とコラーゲンについて深掘りしていきましょう。
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸とは、酸性ムコ多糖とよばれる、糖の1種です。
皮膚だけでなく目や関節にも存在し、医薬品として目薬や関節の注射にも用いられます。
1番の特徴は、水分を抱え込む力です。たった1gで、水分を2~6L保持するといわれています。
また肌の表皮、真皮どちらにも存在し、皮膚の水分を保持する役割を担っています。

水分を抱えこんで、皮膚のクッション性を保っているのね
ヒアルロン酸の種類
ヒアルロン酸は、そのままでは分子量が大きい、つまり化学的にサイズが大きいので、肌の奥に入りにくいです。
そのため、肌の奥に浸透させる、肌表面に保持されやすくするために構造を変化させたものがあります。
ヒアルロン酸の種類 | 特徴 |
---|---|
ヒアルロン酸 | 基本タイプ 分子量が大きく、水分を抱え込むことでとろみがつく |
アセチルヒアルロン酸 | アセチル基という、油になじみやすい構造をくっつけたもの 油の性質をもつ肌表面へ保持されやすくなり、保湿効果が高い 別名、スーパーヒアルロン酸 |
加水分解ヒアルロン酸 | ヒアルロン酸の構造を小さくしたもの 角層の奥まで入りやすくなり、浸透力を高めたもの |
ヒアルロン酸 ヒドロキシプロピルトリモニウム | 「+」の電気をもつ構造。濡れた肌や髪は「-」に帯電するため、吸着しやすい シャンプーや洗顔に配合され、洗い流しても残りやすい特徴をもつ |
コラーゲンとは
コラーゲンとはタンパク質の1種です。
軟骨や靭帯にも存在し、わたしたちのからだを構成するタンパク質の30%を占めています。
皮膚では、表皮と真皮をつなぐ役割と、真皮で弾力やハリを維持する役割を担っています。
化粧品では、肌表面で保護膜をつくることで、水分の蒸発を防ぎ、保湿剤としてはらたきます。
コラーゲンの種類
コラーゲンはヒアルロン酸と同様、分子量が大きく、角質の奥まで浸透させるのは難しいです。
そこで、ヒアルロン酸と同じく、肌への浸透力や保水性を高めるため構造を変化させたものがあります。
コラーゲンの種類 | 特徴 |
---|---|
水溶性コラーゲン(アテロコラーゲン) | 基本タイプ 分子量が大きく、肌の表面にとどまり保水する |
加水分解コラーゲン | コラーゲンをさらに分解し、小さくすることで肌への浸透力を高めたもの |
サクシノイルアテロコラーゲン | 水へ溶けやすくしたもの。 基本タイプより保湿力が高いと言われている |
ヒアルロン酸とコラーゲンの違い
皮膚での役割は下記の図のように違いがあります。

皮膚での役割は両者に違いがありますが、化粧品で期待できる効果は両者とも保湿となります。

コラーゲンは弾力、ハリを増す効果はないの?
肌の構造を考えてみましょう。
コラーゲンの弾力維持効果は、主に真皮層で発揮しているものです。
化粧品は基本的に表皮層までしか浸透しないため、化粧品のコラーゲンを、直接真皮層に届けることはできません。
美容医療で直接コラーゲンを肌の真皮層に届けた場合は、弾力アップ効果は得られますが、化粧品のコラーゲンでは弾力アップ効果を得るのは難しいです。

化粧品は表皮までしか作用しないから、美容医療とは別の認識をもたないといけないのね
まとめ
保湿という共通した効果をもつヒアルロン酸とコラーゲン。
シャンプーや多くの化粧品で使用されているので、成分表を見たら高確率で出会うはず!
ヒアルロン酸やコラーゲンの種類を見分けられると成分表を読み解くのが楽しくなるはずです。
ぜひ今回の記事を参考にしてみて下さいね。
参考文献
2023年>池田書店>久光一誠>化粧品成分辞典>p72~74
2024年>ユイビ書房>宇山侊男・岡部美代治・久光一誠編著>化粧品成分ガイド第8版>p47~49