ライスパワーとは、その名の通り、お米由来の美容成分です。
保湿効果やアンチエイジング、皮脂分泌抑制などさまざまな効果が認められています。
お米由来と聞くと、なんだか肌に優しそうな気がしますよね。
今回は、ライスパワーの正体と、具体的にどんな効果があるのか解説していきます。
ライスパワーとは
ライスパワーは、原料となるお米に麹菌、乳酸菌、酵母など微生物を混ぜ発酵という過程を経てつくられます。

実は、ライスパワーは1種類だけではありません。
発酵の条件を変えることで、さまざまなライスパワーエキスが得られ、効果が認められているライスパワーはなんと13種類もあります。
1つ1つを区別するために、ライスパワーNo.の後に番号が振られています。
医薬部外品はNo.6 No.11 No.11+
化粧品成分で有名なのが、No.6とNo.11です。No.11の進化版がNo.11+(プラス)です。
それぞれどんな効果があるのかみていきましょう。
No.6
No.6は、「皮脂分泌の抑制」効果が認められ、医薬部外品に指定されています。
過剰な皮脂分泌によるテカリ、毛穴の開きや詰まりが気になる方におすすめの成分です。
皮脂分泌を抑制すると、肌が乾燥してしまうのでは?という懸念をもった方もいると思いますが、セラミドなど脂質合成には影響せず、むしろ角層の水分量は増えたという試験結果があります。

皮脂分泌を抑制しつつ保湿もしてくれる成分なのね!
No.11
No11は「皮膚水分保持能の改善」という効果が認められ、医薬部外品に指定されています。

皮膚水分保持能の改善?ただの保湿成分ってこと?
水分保持能の改善と言われてもピンこない、と思った方もいると思いますが、ただの保湿成分ではないのです。
肌の角質層にある、バリア機能を担う成分、細胞間脂質。代表的な成分はセラミドですね。
No11は、セラミドなど細胞間脂質を増やす効果が認められています。
セラミドを外から補う化粧品は有名ですが、自分の肌で作られるセラミドの量を増やすのは、画期的な効果と言えます。
No.11+(プラス)
ライスパワー成分の中で、1番高機能な成分と言えます。
No.11の「皮膚水分保持能の改善」に加えて、「シワ改善」効果が認められた医薬部外品成分です。
シワ改善のメカニズムは、3つのポイントがあります。
基底膜へ作用し、コラーゲンを増やす
肌の表皮と真皮をつなげる基底膜。コラーゲンを主成分として構成されています。

基底膜は紫外線や乾燥、加齢によって破壊されやすくなり、基底膜が破壊されるとシワにつながることがわかっています。
ライスパワーNo.11+は、基底膜の破壊を止め、コラーゲンを増やすことで基底膜を修復する効果が認められています。
表皮の健全化によりシワ予防
紫外線や乾燥などで表皮の状態が悪くなると、炎症物質が作られ、真皮まで浸透し、コラーゲンの破壊、シワにつながると言われています。

No11+は、セラミドを増やす効果に加え、天然保湿因子である「NMF」を増やす効果もあります。
セラミドとNMFが増えることで表皮の状態が良くなり、乾燥小じわの改善、さらには炎症物質の生成が抑えられることで、真皮性の深いシワを予防できます。

表皮の状態が良いとシワ予防につながるのね
真皮への直接作用
筆者も驚いたのですが、No11+は真皮に直接作用し、真皮性のシワを改善する効果があります。
化粧品成分の多くは表皮の角質層までしか浸透できない中で、真皮層まで効果が届く成分はとても画期的です!

No11+は表皮のシワも、真皮の深いシワも改善してくれるのね!
ライスパワーの正体は解明されていない
ここまでライスパワーの効果について解説してきましたが、
実はライスパワー自体の化合物ははっきりと解明されていません。

どういうこと?
ライスパワー自体は、1つの成分ではなく、たくさんの成分の集合体です。
保湿効果のあるアミノ酸や糖、その他の成分が複数集合して、ライスパワーというエキスが成り立っており、その中の1つ1つの成分ははっきりと解明されていないのです。
しかしながら、さまざまな効果が証明されているライスパワー。
正体不明だけど、効果がはっきり認められているなんて不思議ですし、奥深い……。
まとめ
発酵成分を利用した化粧品は他にもありますが、ライスパワーのすごいところは、医薬部外品としてきちんと効果が認められているところです(全てではありませんが)。正体がはっきりわからないけど効果は認められている、不思議な成分の魅力に筆者はとりつかれそうです。
ちなみに、ドラッグストアで手に入り、No11+を取り入れているのが、セラムシールド(ONE BY KOSE)です。
ほうれい線が気になり始めたので、記事を書いている最中に購入しました!
ライスパワーを研究している勇心酒造さんのHPによると、8週間の連続使用でシワ改善効果が認められたようなので、まずは8週間試してみようと思います。
これからもライスパワー成分の研究が進んでいくのが楽しみです。
参考文献
ライスパワー研究所>勇心酒造
松野 孝祐, 徳山 孝仁, 大久保 明, 徳山 孝>各種機能性を有する米発酵エキスの研究開発>化学と生物>2019年57巻 2号 p129~133