前回の記事では、シミができるメカニズムについて解説しました。
今回の記事では、いよいよメインのお話!シミに効く化粧品成分について解説していきます。
代表的な成分を網羅し、選ぶときのポイントや使い分けもわかる内容となっていますので、今後の化粧品選びの参考にしてみて下さいね。
シミに効く成分のメカニズム
まずは前回の復習からです。
(前回記事を読んでいない方は以下リンクを参考にして下さい)
シミに効く成分のターゲットは、以下の図①~④の部分です。

①メラニンそのものを作らせない、②作られたメラニンの受け渡し、拡散を阻止する、③作られたメラニンの排泄を促す、④メラニンを作る指令を止める、美白成分は①~④のいずれかの過程にはたらきかけ、シミを予防します。
シミに効く成分
シミに効く成分のターゲットが分かった上で、具体的な成分についてみていきましょう。
化粧品の宣伝ルールにおける大前提として、美白という表現が認められているのは医薬部外品のみです。
そこで今回は、医薬部外品として美白効果が認められている代表的な成分(以下の図)を紹介していきます。

ターゲットごとにみていきましょう。
①メラニン生成抑制
美白成分の中で一番多く存在するグループです。
ビタミンC(誘導体含む)、コウジ酸、アルブチン等ありますが、それぞれ微妙にはたらき方が異なります。
ビタミンCと誘導体
化粧品成分の中で最も有名と言っても過言ではない成分です。
ビタミンCは抗酸化作用があり、茶色いメラニン色素をつくらせないことで、メラニン生成をブロックします。
ビタミンC誘導体にはいくつか種類がありますが、医薬部外品として認められている成分と、そうでない成分があります。
医薬部外品の場合、化粧品のパッケージに医薬部部外品と書いてあるので、見分けることはできますが、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみて下さいね。
コウジ酸
発酵由来成分のコウジ酸。
メラニンが作られる過程で、銅イオンが必要になるのですが、コウジ酸は銅イオンをキャッチすることでメラニン生成の邪魔をします。
コウジ酸は筆者がよく使うお気に入りの成分です。
過去の記事でも紹介していますので気になる方はご覧ください!
アルブチン、4-MSK
どちらも資生堂さんが開発した成分です。
メラニンが生成される過程で、チロシナーゼという酵素が働くのですが、アルブチン、4-MSKはチロシナーゼにくっついて邪魔をすることでメラニン生成をブロックします。
②メラニン受け渡し阻止
メラノサイトで作られたメラニンは、表皮の角質細胞へ拡散され、シミとなって目に見えるようになります。
作られたメラニンの拡散を阻止することで、シミの顕在化を防ぐ成分が、ナイアシンアミドです。
ナイアシンアミドは、シミ予防以外にも、シワ改善効果も認められている成分です。
ナイアシンアミドについて気になる方は、過去記事も参考にして下さいね。
③ターンオーバー促進
表皮のターンオーバーを促進し、できてしまったメラニンの排泄を促します。
代表的な成分は、プラセンタエキス、デクスパンテノールW(ポーラさん開発成分)があります。
④炎症物質の抑制
紫外線を浴びると作られる炎症物質により、「メラニンを作りなさい!」という指令が出されます。
カミツレエキス、トラネキサム酸(トラネキサム酸セチル塩酸塩も含む)、グリチルレチン酸ステアリルは、炎症物質のはたらきを抑えることで指令を止め、メラニン生成をブロックします。
シミに効く成分を選ぶポイント

美白成分が色々あることはわかったけど、結局どれを選べばいいのかな?
シミに効く成分がわかったところで、結局どの成分を選べばよいのか、迷ってしまいますよね。
そこで、シミに効く成分を選ぶ際のポイントについて解説します。
異なるメカニズムの成分を組み合わせる
シミに効く成分は大まかに4つのメカニズムに分類されました。
同じメカニズムの成分を選択するのではなく、異なるメカニズム同士の成分を合わせることで、シミができるまでの過程を多くブロックできるため、より効果が期待できます。
ちなみに、①でご紹介したメラニン生成抑制の成分は、それぞれブロックする場所が異なるで、①の中の成分を組み合わせるのも良いと思います。
肌悩みに応じて
シミ予防以外に期待できる効果を知っておくと、自分の肌悩みに応じて成分を選択できます。
シミ以外にどんな肌悩みがあるのかに応じて選んでいきましょう。
肌荒れ
季節の変わり目や、マスク生活で肌荒れしやすい方は、抗炎症作用を併せ持つトラネキサム酸やグリチルレチン酸ステアリルがおすすめです。
黄くずみ
コウジ酸には黄くずみを改善する効果も期待されています。
黄くすみが気になる方は試してみましょう。
大人ニキビ
大人ニキビの原因は様々と言われていますが、原因の1つにターンオーバーの乱れが挙げられます。
表皮のターンオーバーを促進するデクスパンテノールWはニキビトラブルを生じにくい肌へ導いてくれるでしょう。
また、皮脂分泌抑制、抗酸化作用のあるビタミンC(誘導体)もニキビ予防に適しています。
医薬部外品かどうか
美白効果が認められているのは医薬部外品だけです。
一般化粧品の中の成分でも、研究によって美白効果が確認されている成分はあると思います。
しかし、医薬部外品として国に認められない限り、宣伝において美白を表現することはできません。
化粧品において美白効果を求めるなら、確実に効果が認められている医薬部外品を選択する方がベターと言えます。
まとめ
美肌への道のりで切っても切り離せないシミ対策!
残念ながら、出来てしまったシミは化粧品で消すことはできません。(美容医療が必要になってきます……)
いかに予防するかが大切です。
筆者は、何かしらの美白成分はスキンケアに取り入れていこうと決めています!
みなさんも気になる成分があればぜひ取り入れてみて下さいね。
参考文献
安藤秀哉>薬用美白化粧品の現状と将来像>Cosmetic Science>2025年第1巻第6号p.12~17