ここ数年の異常な暑さと共に、紫外線を意識する方は増えてきたのではないでしょうか。
紫外線対策として欠かせない日焼け止め。
「紫外線吸収剤フリーってどういうこと?」
「SPFとPAって何が違うんだろう?」
日焼け止めを購入する際、こんな疑問を持った方もいらしゃるのではないでしょうか。
今回は、日焼け止めを選ぶ上での前提知識として、SPFやPA、紫外線吸収剤と散乱剤の違いについて解説します。
紫外線対策を始める前に、ぜひ頭に入れておきましょう!
紫外線の性質
私たちが日常生活で気にすべき紫外線には2種類あり、UVA、UVBとよばれます。
エネルギーが強いのはUVBで、日焼け直後に皮膚が赤くなる原因となったり、細胞を守ろうと作られたメラニン色素によりシミの原因となったりします。
UVAはUVBよりエネルギーは弱いですが、肌の弾力やハリを維持する真皮層まで届くため、シワやたるみの原因となるのが特徴です。
いわゆる日焼け=皮膚が黒くなるのは、UVA、UVBどちらも起因となると言われています。

ここで覚えておきたいのが、UVAは窓ガラスを通過するため、室内にいても対策が必要ということです。
UVAは冬でも夏の半分の量が降り注いでいるため、年間を通して注意が必要です。

外に出ない日も日焼け止めが必要ってことね
また、UVBはエネルギーが強く、慢性的に浴びると皮膚がんや白内障(目の病気)のリスクを高めると言われています。
UVBは夏になると冬の5倍近くの量となるため、夏の時期は特に注意が必要です。
SPFとPAの違い
日焼け止めに記載されているSPFとPAは、それぞれUVB、UVAをどれくらい防御できるかの指標となります。
SPFは数値が大きいほど、PAは+が多いほど日焼け止め効果は高くなります。

紫外線散乱剤と吸収剤の違い
紫外線対策の1つとして欠かせない日焼け止めですが、大きく分けて2種類の成分が使用されているのをご存じでしょうか。
紫外線吸収剤と散乱剤と呼ばれるものです。
紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、名前の通り紫外線を吸収し、無害なエネルギーに変換することで効果を発揮します。
UVA、UVBどちらかを吸収するものや、どちらも吸収しやすい成分とあるので、日焼け止めには複数の成分を組み合わせて配合されることが多いです。
紫外線散乱剤
紫外線散乱剤は粉状の固形物で、紫外線を散乱させることで効果を発揮します。
UVAとUVBどちらも防御する力があります。
両者の違い
使用感や安全性については両者に違いがあります。

化粧品会社の研究や技術により、べたつきやすい、白っぽくなりやすいなどの使用感については、解消されている製品も多いです。
紫外線吸収剤はまれにアレルギーを起こす場合があり、紫外線吸収剤を含まない日焼け止めは「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」と記載され、敏感肌の方に好まれる傾向にあります。
まとめ
家から出ない日は日焼け止めなんて必要ないと思っていたあなた……(筆者も勉強する前は知らなかった)
日焼け止めって面倒だけどやはり大切なんですよね。
記事を読んでくださったみなさん(筆者を含め)、美肌のために毎日ケアしていきましょう!
参考文献
福井崇>遮光製品(サンスクリーン)とその作用>日本香粧品学会誌>2019年43巻1号p.32
江尻和正>無機系紫外線散乱剤の特徴と最新動向>日本化粧品技術者会誌>2021年55巻2号p. 129~135
紫外線による 健康影響 – 環境省
白土真紀>紫外線が人体・皮膚に及ぼす影響 ~屋外スポーツ時の参考に~>体力科学>2023 年72巻1号p.117
本間茂継>化粧品開発に用いられる紫外線防御素材>日本化粧品技術者会誌>2014年48巻1号 p.2~10
佐藤潔>紫外線防止効果測定について―SPF・PA測定法の現状と課題―>日本香粧品学会誌>2017年41巻1号p.44~48