美肌の万能成分!ビタミンCの効果や種類について解説

美白成分

ビタミンC入りの化粧品といえば、誰しもが1度は使ったことがあるのではないでしょうか。

「美容に良い成分なのはわかるけど、ビタミンCを含む化粧品が多すぎて選べない」
「ビタミンCっていくつか種類があるときいたけど、どんな違いがあるの?」
有名な化粧品成分だからこそ、こういった疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。

今回は、美肌の万能成分とよばれるビタミンCの種類や、選ぶ際のポイントも含めて解説していきます。

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ビタミンCの効果

ビタミンCは私たちのからだにとって必要なビタミンですが、残念ながら体の中でつくれません。
そのため食べ物やサプリメント、化粧品などで外から補う必要があります。
ビタミンCの肌での主な効果は美白、抗炎症、コラーゲン生成の3つに分類されます。

美白効果

ビタミンCの還元作用により、シミのもとになる黒いメラニンを、薄い色のメラニンに変化させます。
つまり、できてしまったシミを薄くする効果があります。
また、メラニンが作られる段階で還元作用を発揮し、メラニン合成をブロックするはたらきもあるため、これからできるシミを予防する効果もあります。

抗炎症作用

過度の紫外線を浴びると、活性酸素が発生し、細胞のDNAを障害したり、肌にある脂質を酸化しニキビの元になったりします。
ビタミンCは、還元作用により活性酸素の生成や脂質の酸化を抑えることで紫外線からの炎症を防いだり、ニキビ予防効果が期待できます。

コラーゲン生成

ビタミンCは、肌のハリ感を担うコラーゲン生成効果があります。
1つ注意したいのが、コラーゲンは主に肌の真皮層にたくさん存在し、表皮の下で肌のハリ感維持に関わっています
基本的に化粧品成分は肌の表皮までしか浸透しないので、真皮層まで届くビタミンC誘導体を使用した場合に限定される効果といえます。


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ビタミンC誘導体の種類

ビタミンCは美肌の万能成分といえますが、そのままの形では安定性が悪く、すぐ壊れてしまいます。
そこで、ビタミンCの構造を少し変えて、安定性を高めたビタミンC誘導体が数多く開発されてきました。



基本のビタミンCの骨格は変えずに、別の物質をくっつけることで、安定性の高いビタミンC誘導体ができます
別の物質が、水になじみやすい、油になじみやすいものかによって、水溶性、油溶性、両親媒性の3つに分類されています。

水溶性ビタミンC

水になじみやすいタイプ。水溶性タイプは歴史が古く、種類が豊富です。
医薬部外品として美白効果が認められている成分もあります。

水溶性ビタミンCの例
  • VCエチル=3-O-エチルアスコルビン酸(医薬部外品) 注) 青マーカーは医薬部外品名称
  • ビスグリセリルアスコルビン酸
  • リン酸L-アスコルビルマグネシウム=リン酸L-アスコルビン酸エステルマグネシウム(医薬部外品)
  • アスコルビルグルコシド=L-アスコルビン酸2-グルコシド(医薬部外品)

水溶性タイプは即効性のある成分が多いですが、アスコルビルグルコシドはゆっくり効くタイプです。

油溶性ビタミンC

ビタミンC自体は水に溶けやすい性質ですが、油になじみやすく改良したもので、油分の多いクリームやオイルに配合されます。

肌は油の性質をもつため、水溶性に比べて浸透力が高いといわれています。

油溶性ビタミンCの例
  • テトラヘキシルデカン酸アスコルビル=テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルEX(医薬部外品)

両親媒性ビタミンC

個人的に、これから期待大の成分です。
水、油どちらにもなじみやすい性質をもっています。

両親媒性ビタミンC誘導体の例
  • パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(別名:APPS アプレシエ)

パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)は、皮膚の真皮層まで届き効果を発揮するとわかっています。

化粧品成分は基本的に表皮の角層までしか浸透しないのに、さらに深く浸透するってすごい!

真皮層に届くことで、真皮層に豊富に存在するコラーゲン生成を促進し、ハリやたるみ毛穴を改善する効果が期待できます。
医薬部外品ではありませんが、浸透力が高い分、他のビタミンC誘導体よりも高い効果が期待できるといえますね。

ちなみに、ドラッグストアで見かけるドクターシーラボのVC100には、APPSが配合されています。

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ピュアビタミンCとは

ここまでビタミンC誘導体について解説してきましたが、化粧品で「ピュアビタミンC配合」という言葉をみたことはありませんか?
ピュアビタミンCとは、形を変えていないビタミンCそのものです。

ビタミンCそのままでは安定性が悪いんじゃないの?

ビタミンCそのものは安定性が悪いですが、化粧品会社の研究、高い技術により、ビタミンCそのままを配合している化粧品もあります。ロート製薬の「Obagi」や「メラノCC」が有名です。
ビタミンCはもともと固体ですが、粉のまま1回使い切りにすることでビタミンCそのままを配合した、Yunthの「生VC美白美容液」もお店やネットでよく見かけます。

ビタミンC誘導体は、肌に塗ると別の物質がとれて、元のビタミンCの形となり効果を発揮します。
ピュアビタミンC の場合は、別の物質がとれる過程が必要ないので、ビタミンC誘導体よりも即効性があると考えられます。


ビタミンC化粧品の選び方、使い方のポイント

ビタミンC誘導体がたくさん開発されており、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
どの成分を選べばいいのか、使うタイミングなどポイントを解説します。

選ぶポイント

医薬部外品かどうか

必ずしも、医薬部外品が良いとは言い切れませんが、効果が保証されているという点で、安心して使えます。
また、医薬部外品は有効成分濃度の範囲が決まっているので、ビタミンC誘導体が効果を得られる濃度できちんと配合されている点も魅力です。
安い化粧品の中にはものすごく少ない濃度で配合されている場合もあるようです…….。

値段

歴史が古い水溶性ビタミンCは比較的安価な化粧品も多く存在しており手にとりやすいです。
浸透力が高い両親媒性ビタミンCは、効果は期待できますが、高価なものが多いです。

肌悩み

たるみ毛穴やシワが気になる方は、コラーゲン生成効果が期待できる両親媒性ビタミンC(APPS)がおすすめです。


また、ビタミンC誘導体は塗布後に乾燥やツッパリ感が出やすいといわれています。
乾燥が気になる方は、クリームやオイルに配合されるテトラヘキシルデカン酸アスコルビル(油溶性)を使用するか、
保湿成分であるグリセリンをくっつけたビスグリセリルアスコルビン酸(水溶性)を使用するのがおすすめです。

使用タイミング

ビタミンCは朝でも夜でも使用タイミングの制限はありません。
ただし、紫外線による炎症抑制効果は、紫外線を浴びる前に使用したほうが、効果が高いといわれています。
紫外線を浴びる前の朝はマストのタイミングといえそうです。

まとめ

ビタミンCのまとめ
  • ビタミンC自体は安定性が悪いため、様々な種類のビタミンC誘導体が開発されている
  • 水溶性ビタミンC誘導体は種類が豊富で、即効性のあるものが多い
  • ハリや毛穴に効かせたいなら両親媒性ビタミンCであるAPPSがおすすめ

ビタミンC誘導体は長年研究されており、成分の種類も多いです。どれを選べばよいか迷ったときは、ぜひ今回の記事を参考にしてみて下さいね。

ちなみに、筆者が最近愛用しているのは、トゥヴェールさんの、パウダータイプのAPPSです。
水に都度溶かして使用するのですが、原末なので、APPSと水だけで構成された化粧水を作れます。
毛穴の黒ずみが薄くなってきたのを実感しております……!

みなさんも、自分のお気に入りのビタミンC化粧品を見つけてみて下さいね!



参考文献
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加藤詠子,井口里紗,佐伯夕子>親油性を付与した水溶性ビタミンC誘導体:パルミチン酸アスコルビルリン酸(APPS)>フレグランスジャーナル香粧品科学研究開発専門誌>43(9),51~56,2015-09
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